AIコンビニ1

先日、CEIBSの同級生に誘われて上海のAIベンチャー起業を訪問してきました。社名は伏せますが決済システムと防犯体制を完備して無人のコンビニエンスストアを創り上げようと日夜研究に取り組んでいました。ライバルはアリババ、アマゾンだそうで資金では敵わないが、技術力で優位に立って海外の投資家から資金を集めているところでした。日本からも某有名企業からの投資や、提携して無人コンビニチェーンを広めようという話が具体的にきているとのことです。CEOはオーストラリア留学でIT系の博士号をとっており、社内の雰囲気は企業というより大学の研究室のようでした。日本でもハイテクベンチャーは、今の売上が少ないため受注管理、出荷管理などの間接スタッフは少なく大勢の研究スタッフが会社の人件費の大半を占めているというケースが多いですが、まさにそんな感じです。現在の利益に対して過大な人件費と研究費が必要で、将来の飛躍的成長に期待した投資で必要な資金を回しているが、収支は赤字という状況です。

技術は極めてシンプルで顧客が自分の手を認証登録しておけば、ハンドタッチで決済ができるというものです。iPhoneの指紋認証ににていますが、指紋だとピースサインの写真から偽造可能なので掌全体で認証する方が安全性が高いというアイデアです。決済技術自体は、他社でも十分真似できる程度なのですが、急所となる防犯システムは不正な万引きを防げるよう、高度に発展させたカメラシステムが人の手の動きを分析して、犯罪を未然に防ぐようにしていました。詳細は教えてもらえませんでしたが、実際に物を盗る前にその人間が万引きするかどうかを見抜く技術ではないかと思われます。

無人コンビニのようなテーマが出るとどうしても、気になるのはロボットが仕事を奪うのではないかということです。無人コンビニも実現すればレジ打ちの仕事を奪うことになります。ただ、日本の都市部ではコンビニが飽和状態のため、近所のコンビニとお客の争奪戦以上にアルバイトの争奪戦の方が厳しいそうです。アルバイトが見つからず、店主自ら1人何役もこなさないといけない店舗が増えている中では、この無人コンビニシステムは画期的なソリューションになるはずです。そういえばHISではロボットが応対してくれる「変なホテル」をオープンし、既にハウステンボス、舞浜、蒲郡と3店舗開業し、これから30軒から100軒へと発展させていく計画だそうです。

この「変なホテル」が増えれば増えるほど、宿泊業の雇用が減るわけですが一方で日本では少子高齢化で労働力が減少するので移民を受け入れなければ立ち行かなくなるという意見があります。少子高齢化による労働力不足とロボットの進化による雇用の喪失、果たしてどちらのスピードが早いのでしょうか。ちなみにCEIBSの授業では、「2020年を過ぎると世界中で少子高齢化の問題が顕在化するが、日本だけは大丈夫だろう」と一人の教授が言っていました。随分、過大評価してくれているんだなとこの時は思いましたが、最近の技術の進化を見るともはや夢物語ではなくなりそうな雰囲気です。ちなみにこの教授の授業は2015年の9月中旬、ちょうど今から2年前でした。

2に続きます。

 

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