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2021年05月09日

10年④

 3代目として社長に就任してから、経営に必要な知識を早くたくさん身につけたかった私は読書に邁進しました。
多い時は月に20冊、今でも毎月10冊は読んでいます。

 この当時は、読書以外にもガイアの夜明け、カンブリア宮殿などの経済番組も欠かさず視聴していました。ホワイト企業で有名な岐阜のM工業さんの会社見学にも行ったことがあります。私はそういう外部からのインプットを素直に受け入れてそのまま導入することが多かったのですが、テレビや見学会では上手く回っているシーンしか見ることはできません。実際にやってみると十人十色という通り、人はそれぞれ性格が異ります。「こんな緩い雰囲気でやっていたら、ミスが増えます。」「〇〇をしてくれたら、もっとやる気が出ます。」「休みをもっと増やしてくれませんか。」自分ではかなりホワイト企業寄りになっていたつもりでしたが、1年経過するとさらにより良い方策を求める人、昔のように厳しくしないと規律が保てなくなるという人、社内で色々な意見が出始めました。

 前回の最後に書いた「手紙が負担なので退職します。」と社員が言ってきたのはそんな矢先のことでした。当初私は一人だけ特別扱いはできないので免除することはできないというスタンスでしたが、もしかしたら他にも手紙を負担に思っている社員がいるかもと思って面談で確認しました。そうすると3分の1はぜひこれからも続けて欲しいという人、半分の人が書いても良いが毎月は負担、残りの6分の1の人が「文章を書くのが苦手なのでやめて欲しい」と思っていることがわかりました。世の中にビジネス書はたくさんありますが、ある企業で成功した方法が全ての会社で上手くいくわけではないことをこの一件で私は痛感しました。

 また、自分自身を振り返ってみても何を書いても良いと言っておきながら後で誤字や文章の書き方について指導するなど、本来の目的である心の交流を後回しにして能力開発のツールとして使ってしまったようなところがあったと思います。これでは従業員も手紙を出せば社長にチェックされると身構えるのは当然のことだと思います。文章を書く能力を向上してもらうことは皆の将来に役立つと思っていたのですが、それは会社の業務書類作成時にすべきであり、自由に書く手紙の場に持ち込むべきではなかったと今では深く反省しています。

 この従業員との手紙のやり取りは現在、年3回まで減らしました。パート社員は完全に自由、社員は3回のうち最低1回だけ提出であとは自由、幹部社員は3回とも提出というルールになっています。4月に今年初めての手紙の時期がやってきました。自由提出の人が何名か出してくれたのでとても嬉しく思いました。

⑤に続きます。