「どうしよう・・・」

 すっかり桜も散ってしまい、夏の足音が聞こえ始めました。当社では繁忙期が終わったこの時期に社員面談を行っています。

 1年で最も忙しい3月を乗り切った労いと同時に、仕事、家庭の悩みを聞いてコミュニケーションを図ります。内容は子供の反抗期であったり、夫婦喧嘩であったりと様々です。時には、独身男性から恋愛相談を受けることもあります。どれも正解は無いのですが、良いアドバイスをすることよりも本人の気持ちを汲んであげれるかどうかが大事だと思っています。

 社員の家族と会う機会はさすがにないので、話を聞いての想像に自分の経験談を重ね合わせてアドバイスするしかないのですが、十人十色なので自分がうまくいったやり方がその人に合うかどうかはやってみなければわかりません。答えを出すことよりも、誰かに話を聴いてもらうことで自分の心が落ち着き、前向きに解決策を考えようという気持ちになれる傾聴を常に心がけています。

 そんな中で、一人の若手社員と面談をした時の話をさせて頂きます。彼は現場の作業員で忙しい時期に製造ミスを何件か発生してしまい、なんとか改善したいと思っているがまた発生させてしまったことを悔やんでいました。私は彼に「ミスをした時にどんな気持ちになりましたか?」と尋ねました。

彼は「どうしよう・・・」と思いましたと答えました。私は「悔しい」とか「申し訳ない」という答えを想像していたので一瞬戸惑いました。なぜ「どうしよう」と思ったのか聞いてみると工場の利益目標があるので材料をロスさせてしまったことで利益が減ってしまったので「どうしよう」と思いました。という答えでした。

この答えは「申し訳ない」という言葉と同じように聞こえますが、私はまずいなと感じました。「申し訳ない」には次は迷惑をかけないでおこうという意思が感じられますが、「どうしよう」という言葉については次に進めず立ち往生した気持ちが感じられます。

私はその若手社員に伝えました。「会社は確かに利益を出せなければ立ち行かない、けれども利益だけに縛られて仕事していては貴方も楽しくないし、仕事を通じて幸せな人生を送ることができないでしょう。まず、自分のベストを尽くして良い作業をするよう心がけてください。その延長に良い製品があり、正確さとスピードを両立させることで利益が生まれてきます。」

一度の失敗で確かにその時の利益は減りますが、その失敗を次に生かして進歩できれば次の利益は逆に増えます。彼には一度の失敗をマイナス1だけで捉えるのではなく、その後の改善がプラス2になればトータルでプラス1になり、前進することができることを伝えました。

企業にとって利益は絶対に必要なものですが、不思議なもので従業員に利益ばかり追い求めると逆に利益は伸びず、逆に利益よりも今、その仕事を一生懸命取り組んでもらった方が利益が伸びることが多いように感じます。これからも世の中に貢献できる従業員を育成しながら、その従業員の生活を守れる会社を造っていきたいと思います。

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